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マクロ経済 米関税引き上げは世界を景気後退に追いやるか
大規模関税ショックと強靭な経済

経済調査部長 チーフエコノミスト
藤田 亜矢子
米国発の貿易戦争は世界経済を翻弄(ほんろう)し続けている。「解放の日」に発表された関税は、その後修正されつつあるとはいえ、米国と世界の景気拡大を脅かすほどの経済ショックだ。このまま関税が維持されるのであれば、世界景気はいずれ後退に向かう懸念は高い。
しかし同時に、足元までの世界景気拡大の勢いは強く、景気後退が直ちに実現する兆しもない。そうした意味では、今回の関税ショックがいずれ景気後退を引き起こすとしたら、そのメカニズムがどのようなものになるのかを検討しておくことは重要だ。
実際、足元の世界景気拡大の根底にある健全性を関税ショックで見失うことはできない。今回の景気拡大期を通じて2025年第1四半期まで、民間部門は健全性を維持しており、景気後退がすぐに生じるほど経済は脆弱(ぜいじゃく)ではない。
世界の家計資産は累積的に積み上がってきた一方で、債務返済コストは低水準にとどまったままだ。
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