景気後退が確定的
日本経済は、2019年10~12月期の実質GDP(国内総生産)が前期比年率マイナス7.1%という記録的マイナス成長であった。主因はGDPの約6割を占める個人消費が、消費増税によって極端に落ち込んでしまったことである。個人消費は2020年1月時点でも回復が確認できず、持ち直しが期待された2月は新型肺炎による強い下押し圧力を受けたとみられ、3月も停滞が避けられそうにない。
速報性に優れた2月の景気ウォッチャーは異例の低水準から一段と低下し、2月の日本経済が急激に冷え込んだことを示唆した(調査回答期間は2月25日から29日)。現状判断DI(業況判断指数)は27.4(前月比マイナス15.4pt)、先行き判断DIは24.6(前月比マイナス17.2pt)と、双方とも東日本大震災並みの低水準に沈み、当然のことながら、調査回答者のコメントは新型コロナウイルスに対する懸念で埋め尽くされた。
本稿執筆時点で2月以降の生産、輸出、設備投資などの企業部門のデータは入手できていないが、中国や欧州の感染拡大をみる限り、堅調な数値はおろか、目を疑うような数値を覚悟しておかねばならない。もはや2020年1~3月期のGDPはマイナス成長が確定的な状況である。ちなみに一般論としてはGDPが2四半期連続でマイナスを記録した場合、それを「景気後退」と見做す。
そこに2月下旬以降の世界的な金融市場の崩壊である。欧州で新型コロナウイルス感染の拡大が猛威を振るう中、米国にも感染が拡大したことで、いよいよ世界経済の「停止」が意識されてしまった。FRB(米連邦準備理事会)は3月に入り、1.5%(3月3日に0.5%、15日に1.0%)の緊急利下げを断行し、資産購入(長期国債、MBS〈住宅ローン担保証券〉)を再開するなど果敢な金融緩和策を講じたが、金融市場の混乱は終息しなかった。
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