経済指標を読み解く 2020年4月 持ち直しの兆しがあった生産指数に新型コロナウイルスの逆風2020年1~3月期・鉱工業生産指数
1月分速報値・前月比は2カ月連続の増加
鉱工業生産指数は2019年7~9月期、10~12月期と2四半期連続前期比で減少している(図表1)。10~12月期はそれまでの米中貿易摩擦の影響に加え、消費税増税実施と令和元年東日本台風で大きく落ち込んだ。2020年1~3月期はその反動もあり、前期比で3四半期ぶりに増加になると予想されていた。実際、1月分速報値まではその予想に沿った動きになっていた。しかし、ここにきて新型コロナウイルス感染拡大が生じ、3四半期ぶりの前期比増加が危ういものとなっている(図表2)。
鉱工業生産指数・1月分速報値・前月比はプラス0.8%と2カ月連続の増加。2015年を100とした季節調整値の水準は99.6になった。2019年10~12月期は98.3だったので、2020年2月・3月分の前月比がそれぞれ0.0%なら1~3月期の前期比はプラス1.3%、仮に2月・3月期の前月比がそれぞれマイナス1.0%でも、1~3月期の前期比はプラス0.3%とプラスの伸び率になる。
経済産業省は基調判断を2019年8月分・9月分の「総じてみれば、生産はこのところ弱含み」から、10月分で2015年8月分以来の「総じてみれば、生産は弱含み」に下方修正し、11月分・12月分でも判断を据え置いていたが、2020年1月分では「総じてみれば、生産は一進一退ながら弱含んでいる」と足元の2カ月連続前月比増加の動きを反映し、上方修正した。
経済産業省の先行き試算値は製造工業予測指数を過去のパターンなどで修正したものであるが、先行き試算値最頻値で1月分の前月比はプラス0.5%の増加見込みであった。また、90%の確率に収まる範囲はマイナス0.6%~プラス1.5%になっていた。プラス0.8%という鉱工業生産指数の実績はやや上限の方に近い伸び率で悪くない数字である。
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