年金資産運用・基礎の基礎【実務編】 【ここが知りたい勘どころ〜読者アンケートに答えます】 第7回:生保・一般勘定の活用法〜元本確保が最大の特徴、安定した収益源泉
1月はお休みをいただき、2025年のスタートは、生命保険会社の商品である一般勘定についてです。多くの企業年金が採用し、極めてポピュラーな運用対象ですが、詳しい仕組みや留意点は意外と知られていない気がします。その辺を含めてラッセル・インベストメントの金武伸治さんに解説していただきます。
価格は変動せず、利回りの一部を保証
私が企業年金基金の常務理事に就いた時、前任者から「株や債券はともかく、一般勘定だけは絶対解約するなよ」と言われたのを強く覚えています。
金武 「一般勘定」とは、生命保険会社が提供している元本確保型の商品です。株式や債券のように価格が変動することがないため、値上がり益のような価格リターンはありません。主な収益源泉は利回りで、その一部が保証されている点が大きな特徴です。
一般勘定の利回りは、保証利率と配当からなります。保証利率とは、あらかじめ保証されている利回りです。かつてはおおむね1.25%(一部、1.30%)で生保各社が横並びでしたが、近年は引き下げが実施されており、投資家にとっての運用課題となっています。配当とは年度ごとに支払われる上乗せ利回りで、資産状況や運用状況、生保の財政状況等に応じて事後的に決定されます。
中身は超長期の日本国債が主流
この一般勘定は、どういった資産で運用されているのですか。
金武 一般勘定は、元本を確保しながら利回りを得る必要があります。ですので、債券、特に為替リスクがなく元本毀損リスクが低い日本国債で運用されることが多いです。また一般勘定は、投資家による短期的な解約が少なく、長期的に保有される傾向があります。このため、日本国債のなかでも満期までの期間が長く、それだけに相対的に利回りが高い超長期国債で運用されることが多いです。
しかしながら、長らく続いた日銀によるゼロ金利政策やマイナス金利政策をはじめとする超金融緩和によって、超長期国債では保証した利率すら達成することが困難となりました。そこで、国内社債やヘッジ外債、さらにはREITなどの不動産関連証券や高配当株式にまで投資対象が拡大しています。このように、これらの有価証券から発生するクーポンや配当を原資として、保証利率の達成や配当の支払いを目指しています。
株式と無相関で収益の分散に寄与
一般勘定のそれこそ「一般的な」投資目的や役割は何ですか。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。