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来週を考える|The Week Ahead 再び強まる地政学的要因2024年12月6日(金)配信号
就任までまだ1カ月以上あるものの、トランプ次期大統領はすでに刺激的な発言をしています。宣誓就任後ただちにカナダとメキシコからの輸入品に重い関税をかけようというのです。
それはおそらく、「アメリカファースト」という、貿易障壁(※1)を基本方針とする全面的な保護主義政策の第1弾にすぎません。中国と欧州も、その矛先を免れないでしょう。むしろ、真のターゲットは中国と欧州だと言えます。
特に中国は、鄧小平改革によって徐々に資本主義に移行して以来、経済的・戦略的に強力なライバルとして台頭してきました。そして今、米国の次期政権はパワーバランスを変え、国内の雇用創出と投資を促進するために、ありとあらゆる関税と貿易制限を課そうとしています。
この脱グローバル化(※2)のアプローチは決して新しいトレンドではなく、かなり前から進行していた動きが強まったものです。貿易関税が物価を押し上げることを考えると、結果的にインフレ率の上昇と競争圧力の低下を招くことになりそうです。
これは、スケールメリットと専門化に悪影響を及ぼし、イノベーションと生産性を阻害し、ひいては米国の成長軌道にマイナスとなります。成長の鈍化とインフレ率上昇が組み合わさったこの環境に、各国の中央銀行、特に米連邦準備制度理事会(FRB)がどう対応するかが注目されます。
この話題については、これまで資本市場でほとんど議論されていませんでしたが、2025年には議論が活発化することが予想されます。
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