世界的な選挙イヤーを終えた後の2025年、年金基金などの機関投資家はどのようなポートフォリオ戦略で臨むべきか。キーワードは伝統資産と「バック・トゥ・ザ・ベーシック(原点回帰)」だ。
外債インデックス内の新興国資産に注意
2025年の年金基金のポートフォリオ戦略を考える上でのポイントが「米国金利」だ。
「現在の状況は1990年代後半に近いとみられる。1995年から3回の利下げが行われたが、すぐに景気が上向いたため、FRB(米連邦準備理事会)はその後政策金利を大きく動かさなかった。こうした中、1990年代後半の米国は、基本的にはゴルディロックス(過熱も低迷もしない適温状態)を謳歌(おうか)した。今回、FRBは2024年9月に利下げを開始したが、雇用や消費の状況から米国経済は予想以上に強いため、利下げは小幅で打ち止めになるだろう」(東海東京インテリジェンス・ラボ 執行役員 投資戦略部長チーフストラテジストの長田清英氏)
この米国の利下げ停止で大きな影響を受けると予想されるのが、米国に追随して利下げしていた国・地域だ。自国が利下げを続ければ米国金利との乖離が広がり、低金利通貨は売られやすい為替相場の潮流に巻き込まれ、自国通貨安のリスクが高まる。
「特に中国や中南米の新興国は、通貨安による国内インフレの高進で自国経済の不安定化が進む可能性がある。今後しばらくは、新興国資産への投資は慎重に検討したい」(長田氏)。
年金基金などの機関投資家は、ポートフォリオの中核にインデックス運用戦略を据えることが多い。しかし、このことが意図せぬ新興国資産への投資につながるとの指摘もある。
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