「QE(量的緩和)3の縮小観測」や「債務上限引き上げ問題」など、機関投資家の運用環境が目まぐるしく変わっている。機関投資家はどのような動きに着目し、それに対する効果的な解決策は何か。関係者に話をうかがった。(工藤晋也)
緩和マネーが債券市場に、主要国国債は歴史的低金利
2008年のリーマン・ショック後、これまでの常識が覆され、新たな定説がスタンダードになったことを意味する「ニューノーマル(新たな標準)」という言葉が広まった。定説というのは、言葉ほどには絶対的ではないのだろう。運用の世界でも、かつて定説だった国内外の株式や債券に分散投資するだけの手法に代わり、オルタナティブ投資と呼ばれるヘッジファンドやプライベート・エクイティなどをポートフォリオに加える手法が主流になっている。
オルタナティブ投資に続く次のニューノーマルは何か――。機関投資家の考えを探るべく関係者に取材したところ、「金利上昇リスク」というキーワードが最も多く挙がった。
リーマン・ショックなど発生確率は低いものの、一度起きると多大な損失をもたらすテールイベントの頻発やマーケット環境の悪化により、安定的なインカムに期待できる債券をポートフォリオの中核にする動きが広がったものの、各国の緩和政策による緩和マネーが債券市場に流れ込んだことで主要先進国国債の金利が歴史的な水準にまで低下。いつ金利上昇に転じてもおかしくない状況が続いているため、多くの機関投資家が金利上昇リスクを危惧している。
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