学校法人・金融法人の担当者必見!機関投資家ゼロからの資産運用 【株式編・第3回】クオリティ株と最小分散〜株式セクター内の「価格安定化装置」
前回の株式編・第2回では、株式運用にとって①リスク当たりのリターンを高めることが重要 ②そのために株式内の分散投資が欠かせない ③その際には異なったリターン源泉、リスク特性を持つ株式ファクターに分散するべき――といったことを学びました。このファクターの代表例として、株価が割安と考えられるバリュー株、利益成長性が高いと考えられるグロース株があり、リターン向上へ相互補完関係が期待できるということでした。第3回の今回は、リターン向上とは対照的な働きとして、株価の変動リスクや下値リスクの低減を狙うクオリティ株と最小分散について、ラッセル・インベストメントの金武伸治さんに説明いただきます。
複利効果で「負けずに勝つ」
そもそもリスクを低減するためにも、債券という存在があるのではないでしょうか。それに加えて、株式セクターの内部にも「安定化装置」が必要なのでしょうか。
金武 ポートフォリオ全体のリスクを低減させる手段として、株式と債券の分散効果を高めるのは大事です。しかし、それだけでなく株式比率自体を減らす方法や、これからご説明する株式運用自体のリスクを低減させる方法などもあります。
なぜ「株式運用自体のリスク低減」が重要なのか。その際のキーワードは「複利効果」です。
「複利」とは、運用で得た収益を再投資することで元本が増え、その後の収益がより大きくなることです。一方で収益がマイナスの場合は元本が減るため、その逆になります。対義語は「単利」で、再投資をしない場合の収益率となります。
株式など価格変動性が高い資産を運用する場合は、この複利効果によって短期的なマイナス・リターンを極力抑制したほうが、長期的な累積リターンは高くなる。言い換えれば「負けないことで勝つ」ということです。
具体例で説明していただけますか。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。