「日銀は変わった」という前提

唐鎌 大輔
みずほ銀行
金融市場部
チーフマーケット・エコノミスト
唐鎌 大輔

日銀によるプラス15bpの利上げ以降、為替・株式の両市場で大荒れが続いている。ドル/円相場も2024年7月上旬の高値である162円付近をピークに軟調地合いに転じた。2024年4月以降、縮小していた日米金利差を無視するように円安・ドル高が進んできた経緯があり、日銀の利上げを契機に両者の相関が戻ってきた印象が強い(図表)。

金利差を無視するように進んできた時間帯に関して言えば投機的な色合いが色濃かったと言える。その背景に「日銀は利上げできない」という思惑があったはずであり、今回、その前提が崩れたのでポジションも崩されるに至っているのだと筆者は理解している。ハト派からタカ派へ「日銀は変わった」という前提で市場は動いている。

元よりFRB(米連邦準備理事会)の利下げ着手は世界の市場参加者において既定路線であり、大きなサプライズはない。しかし今回、日銀の公表文に記載された「展望レポートで示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ(以下略)」との一文は相応に刺激的であり、万年ハト派からの脱却を痛烈に印象付けるものだった。

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