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マクロ経済 「どの程度」金利のある世界になる? 政策金利は低位にとどまる見通し
ついに解除された「異次元緩和」
2024年3月18~19日の金融政策決定会合において、日本銀行は、「金融政策の枠組みの見直し」を決定し、2013年4月に開始された量的・質的金融緩和以来の通称「異次元金融緩和」を事実上終了した。異次元金融緩和の軸となってきたマイナス金利政策や、長短金利操作(以下、YCC)を撤廃した点で、日銀が市場金利の多くの部分を事実上コントロールすることで実現させてきた「金利のない世界」を「金利のある世界」へと切り替えたと言える。
「金利のある世界」が到来したことを踏まえ、今後市場参加者にとって重要になるのは、「どの程度の」金利のある世界が実現するかである。結論を先取りすれば、「大きな金利のある世界」が到来する可能性は、かなり長期にわたって低いと考えられる。
金利のある世界における金利がどの程度であるかを考える出発点は、日銀が、どの程度のペースでどの程度の水準まで利上げを進めていくか、である。日銀は3月19日の声明において「当面、緩和的な金融環境が継続する」と明記し、利上げ開始を急がないことを示唆している。
一方、「当面」については具体的な時間軸も示しておらず、緩和的金融環境継続に関し何らのフォワードガイダンス(先行き指針)も示していない。日銀は、いつでも、かつ、いかほどでも利上げを進めていく自由度は確保しているとも言える。
それを踏まえても、以下のような理由から、「当面」の時間軸は長めであり、ひとたび利上げが開始された場合でも、政策金利の水準は低位にとどまる可能性が高いと考えられる。
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