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マクロ経済 日銀ガイダンスの「2面性」。減速の先にある2つのインフレ圧力
「賃金と物価の好循環」
最近の日銀の金融政策のガイダンスには2面性がある。第1のガイダンスは、日銀が重視してきた賃金と物価の好循環に基づいており、データ・ディペンデントな色彩が強い。一方、第2のガイダンスは、「円安が日銀の基調的な物価見通しに無視できない影響を与える場合には、政策修正の事由となり得る」とされている。日銀が以前、円安に利上げで対応することにかなり否定的であった点に鑑みれば、大きな変化だ。
そしてこれが、見通しに紐(ひも)付けられたアウトルック・ベースである点に、当社は強い関心を抱いている。
第1のガイダンスに関して日銀が重視してきたのが、中小企業への賃上げの広がりと、そのサービス・インフレ率へのパススルーだ。2024年春闘では、現時点で賃上げ率が5%を超えている。春闘前の当社予測は4%程度であったため、既に大きなアップサイドが顕現化している。賃上げは4月から7月頃にかけて所定内給与に反映される。初期のコストプッシュ・インフレが減速傾向にあることも手伝い、当社では、夏頃に実質賃金伸び率がプラスに転化すると見ている。
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