【ポートフォリオ構築のABC】第6回は、資産運用の日常作業として最も重要な四半期運用報告についてです。その重要性や報告に臨む構えなどを、ラッセル・インベストメントの金武伸治さんに詳しく説明していただきます。

運用目的の達成度合いを確認

かつて企業年金基金の常務理事に就任した際、直後から各運用会社による四半期報告が次々ありました。追われるような形となり、そもそも運用報告の意味とは?といったことを考える時間もなかった記憶があります。

金武 運用者が運用報告を実施し、それを企業年金側が受ける理由は「運用目的の達成度合いの確認」であり、その目的は「再現性の維持・向上」です

運用目的の達成度合いの確認と聞くと、どれくらい大きなリターンを達成したのか、またはどれくらいベンチマークを上回るリターンを達成したのかを確認する場のように思えるでしょう。それも正しいのですが、真意はもっと深いところにあります。なぜならリターン実績を確認するだけでは、目的である再現性の維持・向上を担保したことにはならないからです。

定量評価と定性評価

「再現性の維持・向上」とは何を意味するのですか。

金武 運用戦略構成に組み入れている個別の運用戦略や、その戦略内で採用されている個別の運用商品には、それぞれ投資目的や役割があるはずです。つまり運用戦略を選択する際には、その目的や役割をどういう理由で選んだのか、ということが前提としてある。そして、その役割の重要度や求める程度に応じて構成比が決定され、運用戦略の構成や運用機関の組み合わせが決まってくるわけです。

運用報告における重要チェックポイントとしては、以下の2点が考えられます。

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