今回は群馬製造業関連企業年金基金を訪問しました。「町工場」がお金を出し合った総合型の基金です。総幹事の生命保険会社から転籍して11年。常務理事の西山 隆さんに、中小企業の経営者たちと膝を突き合わせて「虎の子」の年金資産を守り育ててきた軌跡を伺いました。
西山 隆さん
JR前橋駅から徒歩6分。ビル8階の基金事務所からは、平坦な県庁所在地の町並みが一望できる。画面中央に突き出て見えるのが群馬県庁舎=前橋市表町

群馬製造業関連企業年金基金の概要

  • 所在地/前橋市表町
  • 設立年月/1990年4月に群馬県機械工業厚生年金基金、代行返上し2016年10月に群馬製造業関連企業年金基金
  • 資産総額:約38億円
  • 加入事業所数:99社
  • 加入者:3018人 受給者:944人
  • 予定利率:1.75%
    (いずれも2023年3月現在)

約100社加入、社員1人の事業所も

機械工業の中小企業が集まった厚生年金が前身なのですね。

西山 現在は製造業「関連」ということで、工場に部品などを卸す問屋なども含めて群馬県内の約100社が加入しています。社員400人近くの規模の会社もある一方、社員が1人だけという事業所もあります。中心ゾーンとしては社員20人前後というところです。

年金資産の6割、生保の一般勘定で運用

小規模の事業所あるいは加入者のみなさんが対象ということで、西山さんが日頃モットーとしていること、あるいは常に考えていることは何ですか。

西山 こういう規模の企業年金ですから、年金資産はまさに「虎の子」です。運用で最も重視していることは、やや下品な表現かもしれませんが「やられない運用」です。預かった「元本」は棄損させない。加入事業所の社長さんたちには常々、「年金原資はすべて生命保険に預けています。剰余の資産だけを、利回りが低いけれど安定した商品で運用しています」と説明しています。

具体的にはどういった運用をされているのですか。「生保に預ける」というのは一般勘定のことですね?

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