RBCブルーベイ・アセット・マネジメント グローバル市場のマクロ経済見通しと運用戦略。1990年代に近い市場環境、インフレ率は高水準に
RBCブルーベイ・アセット・マネジメントの債券部門CIO(最高投資責任者)のマーク・ダウディング氏が3月上旬に来日し、都内で機関投資家などを対象に「グローバル市場のマクロ経済見通しと運用戦略」と題して講演した。この中でダウディング氏は「2010年代は経済・金融市場の歴史上例外的な期間だった」と振り返り、現在の世界は「より1990年代に近い状態」と分析した。そのうえで、「グリーン・インフレ・プレミアム」や人口動態などを踏まえると、今後のグローバルなインフレ率は「もう少し高くなる」と見通しを述べた。そしてFRB(米連邦準備制度理事会)が「いつ」利下げするかより、「どの程度」緩和するかを注視するべきだと語った。講演の要旨を紹介する。
米国経済は「ソフト・ランディング」
米国経済は2023年後半にトレンドを上回るペースで成長し、「懐疑派」による経済減速の予測を裏切り続けている。しかし今後数カ月で減速に向かうと見ており、かつソフト・ランディングになると予想している。
FOMC(米連邦公開市場委員会)は今後数カ月後の利下げ開始を視野に入れているが、市場参加者は我慢できず当局の動きを先回りしようとしている。経済が堅調で市場が押し上げられている現状からすると、FRBに利下げを急かす圧力はないだろう。従って、注視すべきは利下げのタイミングよりは、その幅だ。
一般的に利下げサイクルは、引き締めサイクルより急ピッチで進む。急激な景気減速(ハード・ランディング)や大規模な金融ショックがあれば200bps超の大幅な利下げが行われるが、ソフト・ランディングのシナリオでは1990年代半ばのように100bps未満という浅い利下げ幅になるだろう。
「平常時への回帰」願望はあるが……
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