政策金利は当面の間0.0~ 0.1%に据え置きと予想
日銀のマイナス金利解除の予想時期についてエコノミストの中心的な予想は「4月」に集中している。筆者もそう予想しており、その「予告」が2024年3 月の金融政策決定会合で示されるとみている。また筆者はマイナス金利解除をもって、日銀の金融政策正常化が終了すると現時点で判断している。それらの根拠を以下で論じる。
まず、1月の金融政策決定会合を振り返ると、そこでマイナス金利解除に向けた明示的な予告はなく、将来の政策指針を示す文言(フォワードガイダンス)も据え置かれた。ここから判断すると3月の金融政策決定会合におけるマイナス金利解除の可能性はかなり低くなったと思われる。わずか0.1% 程度の利上げとはいえ、階層構造方式の見直しなど、金融機関への負担を伴う政策変更を唐突に決定することはないだろう。
もっとも、経済・物価の展望レポートには示唆的な文言が挿入された。物価見通しを言及する段落で「消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップがプラスに転じ、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まるもとで、見通し期間終盤にかけて『物価安定の目標』に向けて徐々に高まっていくと考えられる。こうした見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっている」と下線部分が追記された。これをマイナス金利解除の布石と受け止めるのはやや行き過ぎている印象だが、物価見通しに対する自信を文字で表現した意味は大きいだろう。
展望レポートの成長率・物価見通しは、2024年度のコア物価が引き下げられた反面、2025年度は上方修正された。2024年度の変化についてはエネルギー価格の安定や食料品価格の値上げ一服が背景にあるとみられ、日銀はこれを重く受け止めてはいないだろう。生活必需品の値上げ一服は日銀にとってむしろ歓迎すべき事象ですらありそうだ。その分、2024年度の成長率見通しを引き上げ、2025年度の物価見通しを上方修正することでバランスをとったかたちだ。こうした見通しが大きく外れない限りにおいて、マイナス金利という極端な金融政策は解除される公算が大きい。
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