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迷走する物価高対策と減税議論
物価高対策は弱者支援に衣替えを
20日に臨時国会が召集された。大きな焦点となるのは、5本の柱からなる政府の経済対策だ(図表1)。選挙を意識して、有権者にアピールするよう大きな規模とする方向だ。
【図表1】経済対策5本の柱
経済対策の中核をなすのは、国民の関心が高い物価高対策である。政府はガソリン、電気・ガス代の補助金制度を来年3月まで延長することを決める可能性が高い。
補助金の延長は多くの国民が歓迎するだろうが、それにはいくつかの問題がある(図表2)。第1に、時限措置として始めた補助金制度の延長が繰り返され、出口が見えなくなってしまうことだ。この先も原油高、円安が定着すれば、財政支出が際限なく増加を続けていくことになるだろう。財源を担う国民の負担も膨れ上がっていくのである。
第2に、原油価格上昇や円安といった環境の変化を受け、企業や国民は、自らの経済行動を柔軟に変えて、それに順応していくことが本来は求められる。過去のオイルショックのように、それが経済をより効率的にすることもある。しかし、政府がエネルギー価格の上昇を抑え、市場機能を歪めることで、そうした市場経済のダイナミズムは失われてしまう。
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