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J-MONEYカンファレンス・レポート 特別講演 ヘッジファンド投資再考~不確実性時代のヘッジファンド投資の意義を考える~講師:金武 伸治氏(ラッセル・インベストメント)
2023年6月2日、ベルサール東京日本橋で「ヘッジファンド戦略の活用が安定運用のネクスト・ノーマルに」をテーマにしたJ-MONEYカンファレンスが開催された。流動性相場の終焉とともに、従来通りの分散投資だけでは十分にリスクを低減することが難しくなっている。そんな運用環境の下、安定運用の次なる土台として注目されるヘッジファンドの運用戦略について語られた当日の講演から、「特別講演」の概要をお伝えする。
金融政策相場からファンダメンタルズ相場へ
現在の投資環境は、金利が低くマーケットの変動も小さい従来の超低金利環境とは異なる“運用難”だと考える。それを示す事象の一つが、短期金利より長期金利のほうが低くなる「逆イールド」だ。株式などのリスク資産は、逆イールドが示す将来の景気後退懸念により相場は不安定化し、価格の下落に伴い市場リターンはマイナス方向に進んでしまう懸念がある。
債券では高いヘッジコストが重くのしかかる。日本の投資家が米国債で運用する場合、足元の米10年金利は3.6%、対米ドルのヘッジコストは5.4%なので、差し引き1.8%のマイナスになってしまう。米国の投資家もデュレーション・リスクを負って長期債に投資しても、逆イールドのため得られる利回りは短期金利以下にとどまる。このようにタームリスクプレミアムがマイナスとなり、債券では、実は日本の投資家と同じ運用難の状況にある。
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