企業年金を担う人々の素顔に迫る企画「知りたい! 隣の企業年金」。朝日新聞企業年金基金の常務理事を務めていた阿部圭介氏が、常務理事や運用執行理事など資産運用を担う方々にインタビューしていきます。第3回は、三井物産連合企業年金基金の小倉邦彦常務理事にお話をうかがいます。

三井物産連合企業年金基金の概要

  • 所在地/東京都中央区日本橋本町
  • 設立/1985年11月(2015年4月に代行返上)
  • 事業所数/72社(2022年4月現在)
  • 加入者数/9870名
  • 受給者数/2835名
  • 受給待期者/1483名

論客である。三井物産の本体を除くグループ企業で構成する三井物産連合企業年金基金の小倉邦彦(おぐら・くにひこ)常務理事。着任されたのは2017年5月。

私(阿部圭介)が朝日新聞企業年金基金に着任した2019年以降、あちこちのセミナーで真っ先に質問する小倉さんの姿をよく見かけた。最近では、パネリストや講師としての小倉さんに遭遇することが多くなった。

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コンサルタント顔負け

小倉邦彦氏
三井物産連合企業年金基金
常務理事
小倉邦彦さん

小倉さんと言うと、自ら作成された詳細なスライドで、自分の基金のポートフォリオだけでなく、様々なファンドの特徴なども解説される。コンサルタント顔負けだな、という印象が強いです。

小倉 いや~どうでしょう。でもありがたいことに主催者や参加者の方々から「説明が分かりやすい」と言われることはありますね。

商社のグループなので、様々な業態の会社が企業年金基金の事業所を構成していますよね。そういったところで説明責任を果たすことによって鍛えられたのでは。

小倉 確かに代議員が28名いますので、その方たちへの情報のアップデートは丁寧に続けてきたつもりです。

基金の政策アセットミックスや、期待リターン、標準偏差などを拝見すると(下表)、非常に保守的な内容だと感じます。

小倉 その通りです。資産の積立比率が一定の水準に達していることなどから、運用で無理することはない、という認識です。私の着任前の2015年3月の段階で、下図のように国内・外国株式を15%に抑制しています。

また2018年5月には、それまで為替ヘッジ無しの外国債券枠を設定していたのを、マルチアセット枠に変更しています。債券そのものよりも為替のリスクの方が大きく、また、金利低下で投資効率も悪化していたためです。期待リターンと標準偏差は、毎年5月にコンサルタントと総幹事の信託銀行に計測をお願いしています。

三井物産連合企業年金基金の資産概要

  • 運用資産残高/約263億円
  • 予定利率/2.5%
  • 期待リターン/2.48%(2022年5月末現在)
  • 標準偏差/2.52%(同上)

【図表】三井物産連合企業年金基金の政策アセットミックス

三井物産連合企業年金基金の政策アセットミックス
※国内債券には短期資産2%程度を含む

株式すべて最小分散に

株式の比率自体、企業年金のなかでは低いほうだと思います。それを、すべて最小分散指数、つまり株価変動幅の低い銘柄を集めた下値抑制型に切り替えたとか。極めて例外的ですよね。どういったお考えだったのでしょうか。

小倉 ひとことで言うと、株でもうけようとは思わない、ということです。企業年金というのは資産配分をそう簡単には変えられませんよね。一方、当基金は一定程度の積み立てがある。であれば、価格変動幅を抑え、下値を守って資産の保全に重点を置きたい。

株式はもともと全て一般的なパッシブだったのを全部、最小分散型に変えました。外国債券をマルチアセットに切り替えたのも同じ考えです。株の最小分散で相場の上昇(ベータ)に0.8程度追随すればよく、あとはマルチアセットで0.2から0.25程度上乗せできれば上出来かなと。

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