「サーチ・フォー・イールド」の合言葉の下で年金基金など安定したリターンを求める長期投資家から注目を集めているのが、プライベート資産に代表される「低流動性アセット」だ。換金性を犠牲にする代わりに高い利回りが期待できる同アセットは、株や債券などの伝統的資産に比べて情報が少ないといった扱いの難しさもある。有識者に活用のポイントを聞いた。
低金利環境を追い風に市場が拡大ニッチな投資対象にも関心
マニュライフ・インベストメント・マネジメントで機関投資家営業部のディレクターを務める高橋孝行氏は、「最近機関投資家から引き合いの強い運用先は何か」との問いに、同社の森林農地投資戦略を挙げる。森林・農地投資は海外では一定の知名度があるものの、日本ではそこまで関心を集めるアセットクラスではなかった。だが、ここへきて年金基金や銀行、生命保険といった長期投資家の目には魅力的な「緑の資産」として映るようだ。
高橋氏によれば、自社生命保険の運用を手掛けてきた同社は、長期で堅実にリターンを獲得する運用を得意としてきた。中でも、解約の時期が限られているなどの“低流動性”の対価として、長期運用で相対的に高いリターンの獲得を狙う「プライベート資産」は長期運用と相性が良く、同社は幅広い戦略にわたる100年近い運用経験を有しているという。
森林・農地もそのプライベート資産の1つだが、日本ではかなりニッチな部類だ。これについて、「ニッチなアセットクラスにも関心を示す顧客が増えたことは、プライベート資産市場全体の裾野が広がってきていることの表れではないか」と語るのは、三菱UFJ信託銀行不動産運用課の中村剛雄氏だ。
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