DC(確定拠出年金)の運営において先進的な取り組みを行う企業の担当者や、制度に精通した有識者の知見に迫る連載「Inside DC」。第2回は、長年にわたり日米の年金制度の最前線を見つめ、日本のDC制度に立ち上げ期から携わってきた浦田経営金融ラボ代表の浦田春河氏に話を聞く。日本のDC制度の現状や商品ラインアップのあり方、効果的な投資教育の工夫などについて米国と比較しつつ、実務担当者への具体的な改善のヒントを紹介する。
運用商品の選択にあたり、人間が違いを峻別できる本数は「10本以内」

代表
浦田 春河氏
日本の企業型DCが抱える課題は。
浦田 制度発足から20年以上が経過し、多くの企業が従業員の老後を支える資産形成の「選択肢」として導入するようになりました。一方で、米国で退職貯蓄制度として普及している401(k)プランと比較すると、日本の拠出限度額は金額にしておよそ10分の1程度にとどまっており、制約がまだ大きいことも事実です。
米国ではインフレに合わせて自動的に限度額が引き上げられ、50歳以上の加入者向けの追加拠出枠(キャッチアップ拠出)も整備されています。一方、日本は限度額の上昇が比較的緩やかに推移してきたため、単独で退職給付制度の全額をまかなうことが難しいケースも多く、DB(確定給付企業年金)など他の制度と併存させて工夫している企業が大多数です。
このように複数の制度を組み合わせる場合、企業の総人件費管理としては合理的ですが、加入者にとってはDCが老後のインフラであるという実感が薄れやすくなる側面もあります。だからこそ、日々の社内コミュニケーションを通じて、DCという仕組みの存在感や意義を従業員に伝えていく工夫が、今改めて求められています。
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