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マクロ経済 米ドル資産トリプル安の背景にある2つの可能性
相互関税「猶予」後の意外な反応

金融経済研究所
エグゼクティブ・エコノミスト
美和 卓
2025年4月2日(現地時間)、トランプ米大統領による相互関税発動宣言は、グローバルに株式市場急落をもたらし、世界の金融市場を大混乱に陥れた。その1週間後、4月9日(現地時間)に発表された相互関税発動の90日猶予は、市場全般に対する安心材料と受け止められたが、米ドル資産は、やや違和感、意外感のある反応をみせた。株安(関税猶予を受け、いったん反発した後の展開)、債券安(金利上昇)、米ドル安の「トリプル安」がそれである。
■トランプ政権による相互関税発動宣言前後の米ドル資産市場の反応

市場での一般的な解釈は、相互関税発動猶予と同時に中国に対してより高率な関税発動が決定されたことを受け、米国経済のスタグフレーション(物価上昇と景気悪化が同時に生じる現象)懸念が高まった、というものであった。しかし、中国以外のほとんどの国・地域について相互関税発動が猶予され、金融市場全体としては楽観論が広がる中であったことを踏まえると、この解釈にはやや無理があるとも言える。
以上を踏まえ、再度、米ドル資産トリプル安の背景を考察してみると、2つの可能性が浮かび上がる。
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