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「基金1000億円」を目指すCFOとCIOに聞く 東大、自主財源強化へ金融のプロ結集
東京大学は今、大きく変わろうとしている。大学運営の基になる独自の基金を積み上げ、その運用益で多様な事業を展開する「エンダウメント型」の経営モデルへの転換だ。米ハーバード大やイェール大など世界の主要大学が模範で、その実行のために学外から金融のプロフェッショナルを招しょう聘へいした。2023年度に東大が初めて設けたCFO(最高財務責任者)とCIO(資金運用責任者)の2人に、就任の経緯から財務改革の現状や方向性などを伺った。聞き手:J-MONEY 論説委員 阿部圭介
菅野暁CFOに聞く
「単年度」脱し、10年計画を初めて作成
東京大学 理事(CFO)
菅野 暁
【すがの・あきら】 1982年東京大学経済学部卒。マサチューセッツ工科大学経営大学院修了(MBA)。日本興業銀行(現・みずほ銀行)入行。みずほフィナンシャルグループ執行役副社長を経て2018年アセットマネジメントOne 代表取締役社長。2023年8月東京大学CFO(執行役)に就任、2024年4月から同理事
菅野 暁
【すがの・あきら】 1982年東京大学経済学部卒。マサチューセッツ工科大学経営大学院修了(MBA)。日本興業銀行(現・みずほ銀行)入行。みずほフィナンシャルグループ執行役副社長を経て2018年アセットマネジメントOne 代表取締役社長。2023年8月東京大学CFO(執行役)に就任、2024年4月から同理事
金融の世界から離れるつもりだったが…
金融業界から大学への転身はどういった経緯だったのか。
菅野 2023年3月末でアセットマネジメントOneの社長を退任した。41年間、金融業界にどっぷり浸かっていたので、しばらくは金融の世界から離れたいと思った。いくつか斡旋もあったが断り、京都大学の社会人向けコースを受講したり、社会貢献の団体で活動したりしていた。
そうした折に東大から話があったのか。
菅野 仲介する人があった。「東大が初めてCFOを置くことになり、その候補者を民間から探している」と。実はそれまで国立大学が法人化されたことも知らなかったし、大学にCFOなんて必要なの? といった程度の認識だった。しかし「ぜひ話を聞いてほしい」と言われて藤井輝夫総長にお会いした。そこで、大学の今後について大変明確なビジョンを聞かせていただいた。と同時に、東大であっても財政状態が相当厳しいことが分かった。
具体的には?
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