2025年の債券市場は好調な見通し【寄稿】アバディーン 債券グローバル・ヘッド ジョナサン・モンディロ氏
2025年は複雑で不安定な1年になる可能性が高まっています。市場心理を左右する要因は、政治情勢、マクロ経済の先行き、国・地域によってばらつきがある金融政策です。ドナルド・トランプ氏の米大統領復帰によって貿易戦争の脅威は増す一方です。そうした背景は債券にとってプラスになるとアバディーンでは考えています。

ジョナサン・モンディロ
アバディーン 債券投資部門 グローバルヘッド
ジョナサンは先進国クレジット、EMD、流動性&金利、プライベート・クレジットを含む、グローバルなパブリック/プライベート・マーケットの債券投資チームを監督。さらに、投資適格およびハイイールド・クレジットの両方に投資する5つの地方債およびインフラストラクチャー・デッド・ファンドの責任者でもある。
ジョナサンが運用していた2つの投資信託がアバディーンに買収されたため、2018年にAlpine Woods Capital Investors, LLCからアバディーンに入社。それ以前は、Fidelity Capital Marketsに在籍。
ベントレー大学でファイナンスの理学士号を取得。
主な動き
2024年年初、ヘッドライン・インフレが想定以上に粘着的であることへの懸念が高まりました。しかし、年後半に入ると複数の中央銀行は市場の予想どおり利下げを実施しました。過去2か月、トランプ氏が大統領選で勝利すると、その政策がインフレ要因になるとの懸念から米国債の中長期利回りは大幅に上昇しました。地政学的緊張もイールドカーブの上昇圧力を高めました。世界の経済成長率は、企業利益率の改善を反映して予想以上に底堅く推移しました。クレジット・スプレッドは、企業業績の向上に下支えられて2024年を通して大幅にタイト化しました。
こうした動向は債券リターンに様々な影響をもたらしました。例えば、国債に特化した戦略は、社債や新興国債券を主要運用対象とする戦略の好パフォーマンスに後れをとりました。現在も続くオールイン・イールドの上昇傾向が債券の魅力を高めています。今後さらに新しいテーマが浮上してくれば債券投資にとって一層の追い風となる可能性があります。
2025年の主要テーマ
アバディーンは先進国の金利政策について、開きが顕在化すると予想しています。米連邦準備理事会(FRB)は、トランプ新政権の政策の影響を見極めるため、すでに利下げを見送りました。FRBによる年後半の利下げ回数予測は「ゼロ」から「2回」というのが市場コンセンサスです。
一方、景気実態への対応が間違いなく後手となっている欧州中央銀行(ECB)については、経済的な逆風の中でより大幅かつ急速な利下げが予想されます。英国では、頑固なインフレがバンク・オブ・イングランドに一服感を与えていましたが、2025年1月の数字が予想を下回ったため、さらなる利下げの可能性が浮上しています。
利回りとスプレッド
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