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マクロ経済 米国経済の先行きに不透明感。企業の雇用と設備投資を注視
2023年内の米利下げは遠のいた
本稿執筆時点(2023年3月10日)では、2022年末から年始にかけて拡がった米国経済の見通しに対する悲観論が後退し、ソフトランディング(景気は鈍化しても明確なマイナス成長にならない)どころか、ノーランディング(マイナス成長を伴う景気後退すらない)との楽観論すら台頭している。2023年1月の雇用統計や個人消費を中心に経済指標が思いがけず強かったことに加え、欧州のエネルギー危機回避(暖冬が主因)や中国のゼロコロナ規制の早期完全撤廃が市場のセンチメントを改善させたとみていいだろう。
ただ、これで本当に米国経済を中心とする世界経済の先行きは明るくなったのであろうか? おそらく大方のエコノミストは懐疑的だ。
2022年末から2023年始にかけて高まっていた米国経済の鈍化と世界的なインフレ鎮静化への期待が後退したことで、米国の利上げが少なくとも年央まで続くとの見方が強まり、市場金利が全般的に高まったからだ。米国の政策金利は2月1日のFOMC(連邦公開市場委員会)で4.5~4.75%と中立金利とされる2.5%を上回っており、現時点で既に引き締め局面に入っている。その効果はこれから顕在化してくるはずだが、そこにさらに0.75%ポイント以上、つまり政策金利は5.25~5.5%、もしくはそれ以上にまで上昇する蓋然性(がいぜんせい)が高まっている。年内の利下げの可能性も遠のいた。
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