魅惑のスタートアップ市場 インドを語る【第2回】 投資先企業の成長確度をさらに高めるベンチャーデット投資で、企業・株主・投資家の“三方よし”を実現
テック市場を中心に、近年になってインド初のスタートアップ企業の活躍が目立つようになった。人口増加を追い風に一層の経済成長が見込まれるインドには、世界中の投資家が注目を始めているという。インド株投資などに強みを持つ運用会社ライトハウス・カントンの専門家が、スタートアップ投資を軸に同国の投資魅力について紹介する連載「魅惑のスタートアップ市場 インドを語る」。第2回では、第1回記事で触れたベンチャー・デット投資について、インドのヘルステック企業のケーススタディを紹介する。
VCから資金調達済みの企業へ投資
本連載の第1回では、ベンチャーデット(VD)投資が、企業規模などの理由により従来型の銀行融資を受けることは難しいが、キャッシュ・ランウェイ(手元資金の残存期間)を十分に確保したい、または成長指標を強化するために資本源を必要とするスタートアップ企業に適した、エクイティの希薄化を伴わない資金調達の形態であることについて説明した。
VDは基本的に、既にVC(ベンチャーキャピタル)投資家から資金を調達済みのアーリーステージ(創業段階)企業またはテクノロジー企業への新株予約権付きローンの一種だ。よってVD投資家は、企業がビジネスモデルを確立し、規模を拡大するためにより多くの運転資金が必要になった場合にのみ投資を行う。つまり投資家にとっては、スタートアップ・エコシステムへの投融資残高を獲得しながらも、リスクを抑えて魅力的な利回りを獲得する投資戦略として注目できるのだ。
とはいえまだ日本の投資家には、VD投資は広く浸透していない。そこで具体的な投資イメージをつかんでもらうべく、ライトハウス・カントン(以下、当社)が実施したインドにおけるVD投資からケース・スタディを紹介する。
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