近年、ESG(環境・社会・企業統治)を考慮した投資が急速に発展、普及してきましたが、足元では2021年に開催されたCOP26(第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議)での議論などを受け、資産運用の世界でもパリ協定の目標を意識した取り組みが進んでいます。本連載ではESG投資の中で現在、最も注目を集めている分野の一つである脱炭素投資を巡る様々な議論を紹介、解説していきます。第3回は、サステナブル・ファイナンスで先行する欧州の取り組みについて紹介したいと思います。
EUのサステナブル・ファイナンス行動計画
EC(欧州委員会)が2018年に採択したサステナブル・ファイナンス行動計画(図表1)は、持続可能な経済活動への民間資金の誘導や2050年のカーボンニュートラル経済を目指す、企業や金融機関、格付会社やインデックスベンダーなどを含む幅広い市場参加者を対象とした包括的な戦略です。
持続可能な活動の分類システムである「EUタクソノミー」を軸にサステナブル・ファイナンスを推進する「開示」や「ツール」に関する規則や指令が整備されています。
前者(開示)にはサステナビリティに関する資産運用会社の開示義務を明確化したサステナブル・ファイナンス開示規制(SFDR)や企業のサステナビリティ開示を推進する企業サステナビリティ報告指令(CSRD)が、後者(ツール)にはEU(欧州連合)の気候ベンチマークやグリーンボンド基準が含まれます。
サステナブル・ファイナンス開示規制
EUにおけるサステナビリティ情報開示のうち、ここでは気候ベンチマークとも関連するSFDR(サステナブル・ファイナンス開示規制)について簡単に触れておきたいと思います。
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