会員限定
為替 「利下げによる株高」で円高は限定されるのか?
「資産価格」より「米金利水準」
本稿執筆時点の金融市場では株価が利下げ期待を背景に騰勢を強めている。この点、ドル/円市場の参加者の間では「利下げ期待で株が上がるのでリスク回避ムードは高まらず、もう新安値はない」といった楽観論も聞かれる。果たしてこれは正しい見方なのか。
筆者は2つの理由から同意できない。まず、確かに足許では利下げ期待と共に株価が持ち直している。しかし、「だからドル/円相場が支えられる」というのはいささか論理の飛躍がある。あくまでドル/円相場のドライバーとなるのは、株価のような「資産価格」より「米金利水準」だというのが筆者の基本認識である。
実際、2019年6月以降、NYダウ平均株価が戻ってもドル/円相場の水準は切り下がったままであり、低下傾向にある米金利水準に呼応した動きと見受けられる。過去5年間のドル高局面がFRB(米連邦準備理事会)の利上げと、米金利上昇を大前提としていた以上、その巻き戻しでドル全面安が生じるのは自然である。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。