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フェアバリューから大幅にかい離して推移するドル円相場
- ECBの利上げと米国のCPIによりドルは135円台へ
- ドル円相場はフェアバリューから52%も過大評価
- インフレと円安は経済学的より政治学的な問題
- 参院選に向け円安批判は政治的に十分に成熟
- 日銀の政策変更がドル円相場反落の契機に
ECBの利上げと米国のCPIによりドルは135円台へ
ドル円相場は、2022年6月中旬に135円台まで上昇しており、筆者が2022年5月に述べたドル反落見通しは戦術的撤退を強いられている。
同年5月23日のラガルドECB(欧州中銀)総裁による利上げ予告に続き、6月9日の理事会ではECBが2022年7月と9月に利上げする方針を正式表明、対ユーロでの円安が市場を先導した。
次いで、11日に米国2022年5月のCPI(消費者物価)が前年比8.6%と40年ぶりの高い伸びを示したことで、市場の関心は米国のインフレ懸念と金融引き締めに移り、ドル円相場の上昇が市場を席巻した。
ドル円相場はフェアバリューから52%も過大評価
筆者の試算によれば、2022年5月においてドル円相場はフェアバリューから52.1%もオーバーバリューされており、これは既往ピーク(1982年10月の36.7%)をはるかに凌駕している(図表)。
各々の機関が算出するフェアバリューの水準にこそばらつきがあるものの、現在の市場におけるドル円相場はファンダメンタルズから大幅にかい離した水準で推移していることに異論はなかろう。
【図表】ドル円相場のフェアバリューのかい離率
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