為替市場の第一線で活躍する講師陣の書き下ろしテキスト

2015年のドイチェ・シューレは6月23日から25日の3日間、ドイツ銀行グループの東京オフィスで開催した。参加者は、事業法人、生命保険・損害保険、投信投資顧問、銀行、証券会社、FX(外国為替証拠金取引)会社などの約20名で、20代の若手が大半を占めた。

講義は外国為替実務の基礎から始まり、通貨オプション、テクニカル分析、NDF取引、リスク管理、「Autobahn」の模擬ディーリングなど、理論から実践的内容までそろっている(下表)。

このような広範囲な講義内容と並ぶドイチェ・シューレのもう一つの大きな特徴が、現在も為替市場の第一線で活躍している講師陣だ。ドイチェ・シューレの講師は、原則グループ内の関係部門における代表メンバーが務める。彼らはドイチェ・シューレのために、通常の業務と並行して自らテキストを書き下ろし、参加者に最新の為替市場のトレンドを伝える。

「私も講師陣の一人として、毎回数十時間を費やして外国為替の“今” を盛り込んだテキストを作成する。ドイチェ・シューレは新任の外国為替担当者の学校のため、スポーツなどの新人賞と同じように、一度しか参加できない。このチャンスを有効に使っていただけるように、講師陣もそのときどきの最高のテキストのもと、最高の講義を披露する」(大西氏)

ドイチェ・シューレでは毎回参加者アンケートを実施し、評価ポイントなどを次回に生かしている。「自分がその事象を120%理解していないと、他人には上手に説明できない。我々講師陣は、ドイチェ・シューレのテキストづくりや講義を通じて、自分の業務を見直し、再勉強する機会をもらっていると考えている。現場で実績があり、かつ講師を務めることができるタレントが豊富に在籍していることに加え、ドイチェ・シューレを日常業務のブラッシュアップに生かすサイクルが機能していることが、長続きの要因の一つではないか」(大西氏)。

ドイチェ・シューレ

他業種との人脈構築も魅力、東京市場の健全発展に貢献

東京と大阪を合わせた過去15回のドイチェ・シューレの参加者は323人。参加者にとっては、3日間の集中講義を通じて他業種との人脈が築けるのも大きな魅力だろう。大西氏は「中には同期会を定期的に開催している回もあると聞く。その後の人事異動で別の部署になっても、為替市場に人脈があることはビジネス上大きなアドバンテージになるはず。東京市場の健全な発展のために、今後もドイチェ・シューレを継続的に開催していきたい」と語る。

ドイチェ・シューレの卒業生の多くは、ドイツ銀行グループを有力パートナーに為替業務のスペシャリストとして活躍するだろう。将来は東京市場において「ドイチェ・シューレ人脈」が一大勢力になるかもしれない。マーケットリーダーを自負するドイツ銀行グループは、市場活性化のためにEトレードシステムなどの新規投資に積極的に取り組んでいる。人材育成のドイチェ・シューレも同グループらしいチャレンジであり、今後も注目していきたい。