ドイツ銀行グループは毎年6月、主に企業の外国為替担当者を対象に「Deutsche Schule(ドイチェ・シューレ=ドイツの学校)と名づけた勉強会を開催している。外国為替実務の基礎から分析手法、Eトレードシステムの模擬ディーリングまで実践的な内容を3日間かけてレクチャーする。同グループでは、今後も勉強会を通じて東京市場の健全な発展に貢献していく方針だ。

「為替業務の経験が浅い人」に自信をもって取引してほしい

ドイチェ・シューレ(ドイツの学校)誕生のきっかけは顧客企業からのリクエストだった。「2007年3月にドイツ証券が外国為替営業を開始し、ドイツ銀行グループとして従来以上に東京市場にコミットする体制が整った。ご愛顧への感謝と一層のプレゼンス向上を図るため、お客様に何かご協力できないかご相談すると、『為替の勉強会を通じて知識や実務の普及を後押ししてほしい』とのご意見をいただいた」(ドイツ証券外国為替営業部長の大西知生氏)。

そこで2007年11月にドイチェ・シューレを開講。以後毎年6月に開催し、これまでに東京で9回、大阪で6回実施した。ユニークなのは、参加対象を顧客企業の外国為替担当者のうち「為替業務の経験が浅い人」と限定している点だ。大西氏はその狙いを、「事業法人の中には為替業務に精通した人材が社内にいない企業も少なくない。4月の人事異動で為替担当になった方に対し、6月に我々の知見をわかりやすく提供することで、早い段階から為替の仕組みや市場構造を深く理解でき、自信をもって取引していただける」と説明する。

ドイチェ・シューレの講義内容は、①必要知識を体系的に習得する「実務」②業務の道しるべとなる「分析」③Eトレードシステムの模擬ディーリングといった「体験」の3つの柱から成る。

実務分野では、「ユーロ円はドル円とユーロドルの掛け算」「カナダ円はドル円とドルカナダの割り算」といった基礎知識から、インターバンクおよび決済システムの構造など一歩踏み込んだ内容を幅広く解説。分析分野の講義では、最近の相場動向を素材にファンダメンタルズ分析やフロー分析、テクニカル分析などの活用方法をレクチャーする。

「参加者に最も人気が高いのが、ドイツ銀行グループのEトレードシステム『Autobahn(オートバーン)』を使った模擬ディーリングだ。実際の相場環境のもとで自らポジションを持って運用。最終日には3日間の運用で優れた成績をあげた参加者を表彰する。『相場動向が気になり夜眠れなかった』と話す参加者もいるほどのプレッシャーの中、講義で学んだ知識や分析などを駆使しながらリアルな為替市場と向き合ってもらう」(大西氏)

ドイチェ・シューレの講義風景
ドイチェ・シューレの講義風景。講師のドイツ証券チーフ為替ストラテジストの田中泰輔氏(写真左)と、挨拶をする外国為替営業部長の大西知生氏(写真右)