豊富な研究資金を確保する海外大学との競争や少子化に伴う財源確保のため、大学の資産運用の重要性が叫ばれている。その裏で既に、寄付金を主な財源とした「エンダウメント(基金)」という独自の運用体制の下、少しでも高い利回りを追求しようと努力する担当者の姿がある。大学基金の運用担当者や有識者の声を通じ、教育法人の資産運用戦略と今後の展望について概観する連載「大学基金の運用戦略」。第2回は早稲田大学 財務部 資金運用担当部長の木村俊明氏に、世界に伍する研究大学への土台とすべくスタートした大学資金「早稲田エンダウメント」について聞いた。
「高リターン×大学事業との親和性」が期待できるPEに投資
かつて債券投資や現預金を中心に資産運用を行ってきた一部の私立大学が、積極的な運用の拡大に乗り出している。その背景には、低金利環境の長期化で債券中心のポートフォリオの妙味が薄れていることに加えて、米国を中心とする欧米の先進大学の成功も影響していると言える。
「代表的な世界大学ランキングの上位に入る大学は多くが資産運用に注力している大学である。特に米国の有名私大は運用残高・投資リターンがともに大きく、毎年巨額の運用益を研究費に回している。一方で国内の私大でそうした取り組みは遅れており、このままでは研究力でどんどん水をあけられてしまう」
こう憂えるのは、早稲田大学 財務部で資金運用担当部長を務める木村俊明氏。同大学ではもともと国内債券への投資を中心としたポートフォリオで「元本保証」を強く意識した資産運用を手掛けていたが、国際的なプレゼンスを向上させる土台として運用を拡大する方針を固めた。
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