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マクロ経済 インフレ警戒持続下での米超長期金利の異変
乱高下する米国債利回り
2021年10月後半以降、米市場金利の乱高下が目立つ。米財務省証券10年利回りは10月21日に直近のピークである1.7%台を付けた後、11月上旬まではほぼ一貫して低下基調をたどった。11月11日公表の9月分米消費者物価上昇率が大幅上振れを示すと、金利は一転して大きく反発した。
不可解なのは、金利乱高下と並行して20年債と30年債の利回り逆転が生じるなど利回り曲線のフラット化(平坦化)が生じていることであり、その一因として、年限の長い部分ほど実質金利の上昇が抑制される傾向が維持されている点である。この間、米国を中心にインフレ警戒感は根強く持続しており、長期、超長期金利のインフレ・プレミアム(上乗せ分)は拡大に向かった可能性もあったはずである。インフレ警戒感の強まりから、米FRB(連邦準備制度理事会)による利上げ観測が強まる流れは、より長い年限においても実質金利を上昇させる要因となりうる。「インフレ警戒持続下での米超長期実質金利低下、利回り曲線平坦化」をもたらしている要因を合理的に解釈すると、年限の長い部分ほど実質金利の低下を促すような、長期の実質成長期待低下をもたらす何らかの要因が作用している可能性ということになる。では、長期の実質成長期待を低下させている要因とは何だろうか?
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