三井住友DSアセットマネジメントは2021年12月9日、「”コロナ”後への移行開始とマネーフロー」と題した報道関係者向け勉強会を都内で開催した。登壇した三井住友DSアセットマネジメント チーフマクロストラテジストの吉川雅幸氏は、2022年のマクロ経済の見通しを解説した。

吉川雅幸氏
経済動向の振り返りを行う吉川氏

吉川氏は足元の世界経済を「自動車部品などの供給制約、原油の供給遅れ、米国の人手不足が経済のボトルネックとなっていた」と振り返る。ただし、兆候としては今がピークであり「徐々に回復していくのでは」と予測した。

世界的なインフレについては「主要国の消費者物価上昇率の加速は、サービスではなく財の価格が主導している。とりわけ米国で顕著で、エネルギーと食品を除く物価上昇の主要因は自動車である」と指摘。「アジアのサプライチェーン問題と米国の人手不足が背景にあるが、供給不足と原油価格高騰が落ち着けば米インフレ率は2022年半ばにかけて峠を越え、同年後半には減速する可能性が高い」と分析する。

マネーフローに関して吉川氏は、「パンデミックへの対応で中央銀行が市中に放出した資金の多くが家計・企業に現預金として滞留しており、実質金利は歴史的な低水準となっている。量的緩和のストック効果が大きい」と語った。

注目のFRB(米連邦準備理事会)の動きでは、金余りの状況はまだ続くと予想する。「2022年半ば以降インフレが峠を超えるとすれば、テーパリング後に利上げするとしてもペースは急速ではないのでは。実質金利はマイナス領域の中で調整される点が今回の特徴だ。今後もお金が潤沢な状態が続くだろう」