マニュライフ・インベストメント・マネジメントは2021年12月、森林農地投資戦略の特設サイトInvesting in natureをオープンした。カーボン・オフセットを実現できる同戦略の情報発信などについて担当者に聞いた。 ( 取材日:2021年11月29日)

マニュライフ・インベストメント・マネジメント
マニュライフ・インベストメント・マネジメント
機関投資家営業部
マネージャー
西田 友矩氏(左)
機関投資家営業部
ディレクター
高橋 孝行氏(右)

ネットゼロに貢献できる投資

森林農地投資によるサステナビリティへの貢献とは。

高橋 森林農地投資は、収益源の分散や魅力的なリターンの獲得を目的に、かつては特定の機関投資家が行うニッチ戦略と認識されていたように思う。ところが昨今は投融資ポートフォリオ全体でネットゼロ目標を表明する金融機関や年金基金が相次ぎ、もはや避けられない課題となっていることで、同戦略のカーボン・オフセット寄与度に着目してご検討いただく機会が増えている。

西田 ネットゼロ達成に向けてCO2(二酸化炭素)の吸収量など具体的な数値を聞かれることも多い。そこで当社は、年次のサステナビリティレポートに加え、ニーズに合わせてファンドごとのより精緻な内容の情報提供にも取り組んでいる。2021年12月には特設サイトInvesting in natureをオープン。森林と農地が相対的に低コストでナチュラル・クライメート・ソリューション(自然への投資を通じた気候変動対策)として果たす役割などを解説している。

新設サイトInvesting in natureで森林農地への理解を深める

高橋 一般的なESG戦略との違いは、マニュライフ・グループが物件取得から運営管理までを、統一した高いサステナビリティ基準に基づいて一貫して実践している点だ。北米から南米、オーストラリアなどグローバルに分散投資し、森林と農地の双方を運営管理まで自ら行っている会社はほかにはないだろう。世界最大級の運用規模と長期にわたる経験が、機関投資家からの信頼につながっており、自ら運営管理しているからこそ、詳細な情報開示が可能となっている。1985年から30年超にわたり、スチュワードシップへのコミットメントや様々な第三者機関の認証取得にも取り組んできた。

リスク低減の徹底と適確な情報開示

どのように広大な森林農地のリスク管理や情報収集を行っているのか。

西田 当戦略では最新技術を積極的に導入し、物件選定や運営、計測などに活用。2021年夏に米カリフォルニア州のアーモンド農園が壊滅的な干ばつに見舞われたが、当グループは水源が確保できる土地を選定し、かつ水の使用量も最小限に抑制する技術を用いていたため被害はほとんどなかった。こうした高度な運営管理手法がリスク低減に貢献している。また、衛星写真やドローン、リモートセンシングなどの最新技術を活用しており、計測の精緻化はより適確な情報開示の実現につながっている。

高橋 オープンエンド型ファンドである当戦略は継続募集を行っている。2018年1月のクロージング時に約7億米ドルだったコミットメント総額は、2021年12月時点で約13億米ドルまで増加した。近年機運が高まる脱炭素に真に貢献できるとの観点から世界的に高い注目を集める森林農地投資。マニュライフ・グループとしての事業活動におけるネットゼロへの取り組みでも、自社で投資する森林農地が大きく貢献している。この機会に、日本の機関投資家の皆さまにも、ESGへの貢献と魅力的なリスクリターンとの両立が可能な森林農地投資にぜひ目を向けていただきたい。