Asset Watch 年金基金とベンチャー投資 ~新たなリターンの可能性~ 第2回 国内VCのリターンは海外と比較して高い水準で推移
米国におけるVC(ベンチャーキャピタル)への資金供給は、年金基金をはじめとする機関投資家が占める比率が8割にも上る一方で、国内VCの場合は年金基金による資金提供は1%未満にとどまる。ここ数年、国内への投資に特化したPE(プライベート・エクイティ)・VCファンドの運用資産残高が急速に増加し、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など国内の機関投資家も注目し始めている。オルタナティブ投資の包括的なデータを提供するPreqinにおいてPEやVCを調査しているアソシエイトの塩崎健氏に、国内VC市場のファンドパフォーマンスや業界に求められる透明性などを聞いた。
サイズの小さい国内VCは海外マネーを呼び込むにはコスパが悪い?
Preqinは日本ベンチャーキャピタル協会(以降、JVCA)と共同で2020年6月から国内VCパフォーマンスベンチマーク調査を行っている。2021年5月には第3回目の調査を実施した。第1回の参加企業数24社・ファンド数76本から、第3回は42社・120本まで増加。金額ベースで国内VC市場全体の6割をカバーしており、開示情報がより充実してきた。
Preqinアソシエイトの塩崎健氏は、「調査結果は開示の際に提供データの匿名性を確保する必要があるが、データ量が少なければ難しい。参加企業・ファンド数が増えたことで公開できる情報も増加した。例えば、第3回では設定来ネットIRR(内部収益率)について中央値だけでなく上位4分の1、下位4分の1も確認できる四分位ベンチマークを公開。LP(リミテッド・パートナー)やGP(ジェネラル・パートナー)にとって有用となり得る情報を今後も試案して開示していきたい」と話す。
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