プリンシパル・ファイナンシャル・グループの会長 兼 CEO(最高経営責任者)のダン・ハウストン氏と、同グループの資産運用業務を手がけるプリンシパル・グローバル・インベスターズの日本法人の代表取締役社長を務める板垣均氏にマイナス金利下で有望な投資先などを聞いた。(取材日:2016年10月4日)

プリンシパル・ファイナンシャル・グループ
プリンシパル・ファイナンシャル・グループ
会長 兼 CEO
ダン・ハウストン氏(右)
プリンシパル・グローバル・インベスターズ
代表取締役社長
板垣 均氏(左)

世界的な低金利や経済成長の鈍化などにより、伝統資産である債券や株式が冴えないなか、プリンシパル・ファイナンシャル・グループ会長 兼 CEOのダン・ハウストン氏は「投資機会に恵まれたアセットクラスもある。当グループでは優先証券や不動産、ハイイールド債券、インフラ・ストラクチャー、私募債などを有望視している」と言う。

加えて、株式や債券の期待リターンが低下していることから、ハウストン氏は「これまで以上に投資先の分散が重要になる。恒常的にプラスのリターンをあげるアセットクラスは存在しないことから、さまざまな投資先に分散したポートフォリオを構築し、適切なアセットアロケーションをすることが肝心だ」と指摘する。

同グループの強みは、年金基金などの長期の投資家向けに運用していることと、創業以来130年以上にわたり培ってきた豊富な経験とノウハウを持つこと。さらにプリンシパル・グローバル・インベスターズの代表取締役社長の板垣均氏は、「顧客のリクエスト通りのプロダクトを提供するより、ボラティリティを抑制するなど顕在化していない課題に対するソリューションを積極的に提案する姿勢も顧客から評価されている」と明かす。

マイナス金利政策の影響を受ける日本の機関投資家に対しては、他地域の機関投資家と同様に優先証券や不動産、ハイイールド債券がコアのストラテジーになると見る。さらにエマージング経済の勢いが鈍っているが、ハウストン氏は「我々が提供するエマージング株式・債券の両戦略はともに結果を残している。エマージング経済が再び勢いを取り戻す時はいずれ訪れると思う」と強調する。

ハウストン氏は、世界的な潮流となっているフィンテックの動きにも関心を寄せる。「AI(人工知能)の発展によって将来は、運用の世界でもITの専門家などが求められるようになっていく。ITが身近なミレニアム世代に受け入れられるサービスを考える必要もあるだろう。米国の運用会社におけるフィンテックの進捗状況は、野球で例えるとまだ1回か2回と始まったばかり。9回のゲームセットまでにはいろいろな転換点があると思う。フィンテックの分野でも業界の先頭を走っていきたい」と意気込みを語った。