テーパリングでFedの資産が減少すればドル円相場には上昇余地も 米国の金融政策正常化、日本の政局混乱と資本流出が招くドル高円安
為替市場では、米国の2021年内のテーパリング(量的緩和の縮小)開始がコンセンサスとなった一方、欧州では金融緩和のコミットメントがより強化されたと判断されている。日本サイドから相場動向に影響を与える要因としては、政局と直接投資動向が挙げられる。筆者作成のドル円予測クオンツモデル分析などを用いながら、年後半の方向性を探る。 (記事内容は2021年9月3日時点)
ポンド独歩高・円独歩安となった2021年央前半の主要為替市場
図表1は、ドル、ユーロ、円、ポンドの4通貨に関して、それぞれ他の3通貨に対する為替レートの平均指数である(2021年1月4日= 100)。例えば、ドル指数は、ドルユーロ、ドル円、ドルポンドの3通貨ペアの単純平均となっている。
これに基づいて2021年の主要為替相場を振り返ると、年央まではポンドの独歩高、円の独歩安の展開であったことがわかる。ポンド指数は、5月28日に年初来7.1%上昇した。内訳は、対円の上昇率が11.4%と高い伸びを記録している。英国では、新型コロナウイルスのワクチン接種が他の先進国・地域に先駆けて進展し、少なくとも同日の1回接種の人口比率は、英国57.6%、米国49.8%、EU(欧州連合)37.6%、日本8.7%となっていた。
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