マイナス金利の導入決定から間もなく半年。国内債券の利回り低下で、機関投資家の投資環境は厳しさを増すが、運用見直しのスタンスは金融法人と年金基金によって大きく異なる。マイナス金利時代に有効な運用戦略とは──。(工藤晋也、山岡靖宗)
積極的に動く地方銀行
機関投資家のなかで素早く運用見直しに動いたのは金融法人である。「とくに日本国債の償還を控える地方銀行が積極的に動いている」と日興アセットマネジメント 機関投資家営業第一部長の吉田義幸氏は実情を語る。
対する年金基金は静観の構えを見せる。近年の恵まれた運用環境によって剰余金が積み上がり、余力があるのが大きな理由だ。「しかし、金利がゼロからマイナスになったことで、日本の年金基金もこれから半年~ 1年ほどの間に手を打ってくるだろう」とタワーズワトソン・インベストメント・サービス代表取締役社長 兼 コンサルティング部長の五藤智也氏は予想する。
マイナス金利時代の有効な運用戦略は何か。五藤氏は、「円金利資産外への分散」か「円金利資産内での分散」を挙げる。同社では今後5年間程度でダウンサイド・イベントが発生する確率を40%と見込んでおり、「不確実性の高い時代こそダイバーシティ(分散)アプローチが重要になる」(五藤氏)からだ。
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