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株式 下方リスクに備えたいグローバル株式、金融緩和の持続と在庫調整に注目
景気回復の後ずれリスクが浮上
令和元年の初取引となった5月は、米中通交渉をめぐり波乱の展開で幕を開けた。2019年4月までは中国政府の政策による世界経済の底上げ期待が原動力の投資環境であっただけに、米中通商交渉の難航は投資家心理を冷やすものとなった。もとより米中交渉は、経済、技術、通貨、軍事などの覇権が絡む協議だ。短期的な合意はありえても、中長期的な世界経済におけるリスク要因として意識していく必要がある。
足元も短期的な交渉の行方にベットすることは難しく、世界経済の不透明感は払しょくできない。中国側の報復措置の発効や大阪で開催されるG20サミットでの米中首脳会談の可能性など、6~7月の展開によってその後のシナリオが変わろう。各国の金融緩和が継続され、世界的に製造業の在庫調整が一巡し、景気回復軌道の兆しが見られるかで投資スタンスは変わってくる。
主要国中央銀行の金融政策は、当面緩和姿勢を継続する公算が大きい。2019年3月以降に見られた欧米の緩和的な金融運営は世界に波及しており、主要12カ国の通貨供給量も拡大基調だ。2019年5月に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)は、性急な利下げの可能性を否定するものとなった。米中貿易摩擦が深刻化し景気後退リスクが台頭すれば、再び利下げ観測が高まろう。日本銀行は2019年4月25日の金融政策会合で金融緩和の強化を打ち出しており、少なくとも2020年春までは緩和継続のスタンスを示した。
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