いつもより早い開花宣言や緊急事態宣言の解除など、心はやる発表とほぼ同時に、日米欧の中央銀行が金融緩和の継続を相次いで発表。市場の期待は元々が緩和継続であり、その意味では期待通りの結果発表となったに関わらず、マーケットは市場によってまちまちの反応をした。ただし、足元で上昇過程に入った長期金利を見て、金融引締に転じてしまうのでは、との一抹の恐怖感が漂っていた中、金融政策は緩和姿勢を2023年末まで維持する方向性を見出したことで、この後の資産市場は再び安定していくのではないか、と想像している。
つまり、“合理的バブル”の延長だ。合理的バブルというのは、金融緩和を礎にし、財政政策がサポートすることで資産市場に安心感が生じた現象である。コロナ禍での経済の落ち込みに関わらず、株式市場など資産価格の上昇が続いてきたことは周知である。そうなると、次に気になるのが、バブルの弾け方だ。
いつ、どこで、どうやって弾けるのか。しかし、合理的なバブルだけに、考えても結論が出ない。そうなると、いつもニッチな市場に見えているクレジットにお鉢が回ってくる。「やっぱり、今回のバブルが弾けるのもクレジットからでしょ?」と筆者も何度も聞かれている。そこで、今回はクレジット市場が崩れるとする場合の警戒しておくべき点について、チェックして見ることにしたい。
① ハイイールド市場
まずは、ハイイールド市場である。言うまでもなく、BB以下の社債などを中心にした市場である。BBは投機等級と言われる分類にあることから言えるように、クレジットリスクは高い銘柄群である。
しかし、基本的には安定して推移していることが見て取れよう(図表1)。クレジット市場全体が安定しているなら、相対的に上乗せスプレッドが乗っている分キャリー狙いも可能だ、と考えられており、投資家ニーズも安定している。欧米におけるデフォルト率も思う程上がっていない。それぞれの企業やセクターの努力から、レバレッジも改善してきており、信用力の悪化は思う程にならなかったこともある。
【図表1】ハイイールドのスプレッド推移
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