「マルチアセット戦略」はワンストップで様々な資産に分散投資できるソリューションだ。従来のバランス型ファンドで行われてきた分散投資が発展し、2008年のリーマン・ショックを契機に、より柔軟かつ機動的な分散投資をアウトソースする目的で海外の機関投資家間で浸透していった。マーサー ジャパン ウェルス・コンサルティング本部代表バートナーの五藤智也氏に、現在のトレンドや商品を選ぶポイントなどを聞いた。
テーラーメイドなOCIOとレディーメイドなマルチアセット
複数資産間で機動的に資産配分を行うマルチアセット戦略の活用法は、日本と海外では異なるケースが見られる。例えば英国では、DB(確定給付企業年金)を閉鎖·凍結し、新入社員はDC(確定拠出年金)のみに加入することなどから、DBの資産額が徐々に減少。このめ、運用をアウトソースするニーズが出てきた。これがよく言われるOCIO(アウトソースド・チーフ・インベストメント・オフィサー)だ。
OCIOには2種類あり、資産規模の大きいポートフォリオにはカスタマイズ可能なテーラーメイドのソリューションが、小~中規模のポートフォリオにはレディーメイドなマルチアセットが主に導入されてきた。マルチアセットは、運用規模を間わず分散投資できる点が魅力だ。外資系の運用会社が日本の機関投資家にマルチアセットを本格的に紹介するようになったのは約10年前。欧州と異なり、日本では資産規模の大小に関係なく採用するところが増えていった。資産規模が大きく、人員も豊富な大手金融機関などは運用をアウトソースする必要性は高くないが、優れた運用機関の選定やポートフォリオ構築などの手法を学ぶ一環として導人することもあるようだ。
また、マルチアセットが広く行き渡っている英国では、リターン確保をアウトソースする意図で株の代替に活用することが多い。これに対して日本では、主として債券の代替に位置付けられている。
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