米国債の利回り上昇やこれまで堅調だった金価格の下落など、2021年に入って世界の運用環境は変化の岐路に立っている。こうした中、長期で着実なリターンの獲得を狙う年金基金はどのように運用を考えていくべきだろうか。連載「年金基金への提言」第2回では、1990年代後半の年金運用が開始した頃から同業務に携わってきたDIC企業年金基金 理事の近藤英男氏に、「ウィズ・コロナ」時代の運用の焦点について聞いた。

「近藤式ESG」でチャンスの所在を知る

近藤英男
DIC企業年金基金
理事
近藤英男氏

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、“水没”していた金利の動向に注目が集まっている。2020年を通じて下降トレンドにあった米国や日本をはじめとした各国の金利が、上昇トレンドに転じ始めたのだ。この動きを予知していたかのように、2021年1月29日の取材時点で「米国の金利は低すぎる。近々コロナ前の水準に回帰するのではないか」と語っていたのは、DIC企業年金基金で理事を務める近藤英男氏だ。

同氏は債券金利を「年金運用において非常に重要なリターンの源泉」と位置づけ、その動向を注視していると明かす。ただし各国政府・中央銀行のゼロ金利政策やコロナ禍収束の不透明感などから、コロナ禍以前の金利水準を回復した後は伸び悩むと予想。そのため引き続き年金運用では、金利が低い分、どこまでほかの戦略でリターンを補えるかが一番のテーマになるという。

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