TOPインタビュー 投資先の意向を汲む日本型バイアウト。スカイマークは5年以内の再上場目指す
クラウン・リーシングの破たん処理、東ハトの買収、阪急ホールディングスと阪神電鉄の経営統合など、これまで数々の企業再生を手がけてきた佐山展生氏。2007年9月に立ち上げたインテグラルの代表として現在、業績不振に陥ったスカイマークの経営再建に取り組む。会社側の再生計画案に対して大口債権者の米リース会社イントレピッドが対案を提出するなど、視界の悪い状況が続く。スカイマークは再び大空に飛び立つことはできるのだろうか。
従業員のモチベーション維持、中長期的に企業価値向上
「ユニゾン・キャピタル」「GCAサヴィアン」に続き、2007年9月に「インテグラル」を立ち上げた。同社を創業した理由は何か。
佐山 元々は三井銀行でM&Aアドバイザーをしていた。10年以上にわたるM&Aアドバイザリー業務を通じて、日本でバイアウトの機運が高まっていることを感じ、1998年にユニゾン・キャピタルを共同設立した。ユニゾンの第1号ファンドは1999年に設定。最終的に380億円の資金が集まり、自動車部品メーカーの「キリウ」やIT関連出版の「アスキー」、菓子メーカーの「東ハト」など計7社に投資することができた。しかし、ある投資候補先企業の方にいわれた「投資してくれても3、4年後に売却していなくなるんでしょ」という一言が胸に突き刺さった。確かに一般的なバイアウトは、ある期間、投資先の企業価値を高めるべく努力する。だが、長期的に強い会社を作ろうと言っても、投資後数年すれば、売却してそこの会社とは関係がなくなってしまうという避けられない事実を突きつけられたからだ。
米国から持ち込まれたバイアウトのモデルは、そのままでは日本人のカルチャーには合わないと考え、インテグラルの共同創業者の山本礼二郎と一緒に日本型バイアウト手法を考え、ユニゾンの2号ファンドの立ち上げには参加せずに2004年9月に同社代表を退任した。しかし、競業避止契約があり、すぐに起業できないため、その間にM&Aアドバイザー会社「GCA(現・GCAサヴィアン)」を山本礼二郎、渡辺章博、加藤裕康各氏と共同で設立した。同社では阪急と阪神の経営統合などの案件を手がけ、2006年10月6日にはM&Aアドバイザー会社としては日本初の上場(東証マザーズ)も実現した。
その後、日本型バイアウトの実現に向けて2007年9月にインテグラルを創業。それから5年ほどGCAサヴィアンとの二束のわらじ状態が続いたものの、2014年1月からは完全にインテグラルの業務に集中できるようになった。日本型バイアウトを思い立ってからおよそ10年後のことだ。
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