米国と比肩するユニコーン大国
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開発研究センター
企業・産業研究グループ
副主任研究員
丁 可(てい・か)
経済学博士。1999年中国南京大学卒業。2005年名古屋大学博士課程単位取得退学、アジア経済研究所入所。専門分野は中国経済、中小企業、グローバルバリューチェーン、起業とイノベーション。近年、深圳を中心に、中国のイノベーションエコシステムに関連する調査研究に従事
ユニコーン企業とは、創業10年以内で企業価値が10億ドル(約104億円。1ドル= 104円で計算)を超える未上場のハイテクスタートアップのことを指す。ユニコーン企業の数から、一国における起業や新産業創出のダイナミズムをうかがい知ることができる。
中国は米国と肩を並べる世界有数のユニコーン大国である。スタートアップやベンチャーキャピタルの動向を分析しているCB Insightsのデータによると、2020年11月27日時点で世界全体のユニコーン企業は501社だが、米国と中国はそれぞれ215社と107社を抱えており、圧倒的多数を占めている。企業価値が100億ドルを超えるいわゆるスーパーユニコーン企業の数についてみても、米国と中国は全28社のうちそれぞれ13社と8社を抱えており、やはり圧倒的に多い。
ユニコーンを巡る諸指標の中で、中国が首位に立つ指標も2つある。2018年末時点で中国ユニコーン企業の1社当たりの企業価値は59.6億ドルで、他国平均の2倍に達している(『中国ユニコーン報告2019』)。中国企業の成長スピードも極めて速い。2018年末時点で、中国ユニコーン企業の平均創業年数は4.72年で、米国の6.07年よりずっと短い。そのうち、創業年数が2年未満のユニコーン企業の比率は15.33%で、米国の2倍近く( 8.41%)になっている(投中研究院発表)。
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