すでに幅広い運用戦略を提供するも、プライベート・アセットなど新たな分野の強化を図るシュローダー・インベストメント・マネジメント。代表取締役社長の黒瀬憲昭氏に、グループの展望や日本でのビジネスについて聞いた。(取材日:2020年11月19日)

黒瀬 憲昭
シュローダー・インベストメント・マネジメント
代表取締役社長
黒瀬 憲昭氏

日本との関わりは150年前から

1804年創業のシュローダー・グループと日本の関わりは。

これからの債券投資を考える

黒瀬 シュローダー・グループが日本と交流を始めてから、2020年で150年。1870年、日本初の鉄道敷設における資金調達の際、ポンド建て日本国債を引き受けたことを機に、近代日本の形成に貢献してきた。1974年に東京事務所を開設以降、日本株式運用を中核としつつも、世界の各種資産クラスへの投資機会を提供している。当グループの特徴の一つは、上場企業としての透明性を持ち、資金調達がしやすい一方、シュローダー家が約半分の株式を保有することから買収されるリスクは極めて低く、中長期的な経営戦略を立てやすいことだ。

運用会社としての強みはどの分野か。

黒瀬 世界37拠点でカバーする情報網が強みの一つだ。多様な運用戦略を展開しているが、中でもグループの運用資産総額約73兆円のうち約19兆円を占めるマルチアセット運用戦略は、ジャッジメンタル・スタイルに特化。世界の運用拠点から集まる情報が、確かな運用成果の源だ。また、大手公的年金基金の資金運用も担う日本株式と外国債券運用も柱だ。特に、日本で培った45年超の経験とグローバルな視点を兼ね備えた日本株式運用チームは、経験豊富な運用ロフェッショナルが揃い、安定性も強み。年金基金や大手金融機関など様々な顧客に当グループの戦略を活用いただいている。

近年は年金基金などの関心が高いプライベート・アセット分野を強化中だ。資本提携や買収も行って運用力を強化しており(下図)、今後もさらなる拡充を予定している。直近では、プライベート・エクイティ(PE)の一商品をみずほ信託と提携することが決まった。通常、PEの投資期間は短くて10年前後に固定されることが多く、流動性の低さが難点だが、同商品は、購入は月次、売却は四半期のセミ・リキッドタイプ。設定および解約のハードルが低いことが好感され、引き合いが強くなっている。

資本提携や買収でプライベート・アセットの運用力を拡充

制度改正に適応する柔軟な投資戦略

ESG(環境・社会・企業統治)対応の進ちょく状況について。

黒瀬 2020年末までに、全ての資産クラスで「ESGインテグレーション」を完了するべく最終調整中だ。ESG投資のリーディング・カンパニーとして、社内認証制度でESG投資の質を担保する一方で、独自のESGツールを運用力向上に活かしている。20年以上にわたりESGに取り組んできた結果、国連PRI(責任投資原則)の年次評価では6年連続A+の最高評価を獲得している。年金顧客や金融機関からESG投資の運用プロセスや評価手法などに関する相談も増えている。

一方で、投資ソリューションにも注力している。2019年、当グループは英金融大手ロイズ・バンキング・グループ傘下の生保事業スコティッシュ・ウィドウズから約11兆円のマンデートを獲得した。同案件は、ALM(アセット・ライアビリティ・マネジメント)やアロケーション分析だけでなく、運用コンテンツも提供するなど専任の保険ソリューションチームがカスタマイズを手掛けている。日本でも、銀行ならバーゼルのリスクウエイト調整、保険会社ならソルベンシー・マージン比率の調整といった制度改正に適応するポートフォリオ構築へのニーズは高まっており、柔軟に対応できる投資戦略への問い合わせは増えている。

今後注力していく取り組みは。

黒瀬 当グループは歴史が裏付ける経験とイノベーションでお客様に優れたソリューションを提供できると自負しているが、日本では十分に力を発揮できていない分野もある。シュローダーの強みをさらによく知っていただくため、情報発信にも力を入れていく。「資産運用サービスを通じてよりよい未来への貢献を目指す」ことが我々の使命。お客さまと共に発展すべく、より質の高い運用サービスをご提供していく。