M・コーリー・ゴールドマン(M. Corey Goldman)
カナダを拠点に北米経済全般・資本市場をカバーするフリーの金融ジャーナリスト。以前は、ブルームバーグ・ニューズ、CNN、トロント・スター、カナダ・フィナンシャル・ポストなどで取材・編集を担当。社会奉仕活動ではHelp For Children/Hedge Funds Care(ニューヨーク)役員を兼任。
市場の関心は米利上げと景気減速の中国に集中
北米の投資家と市場ウォッチャーは総じて数カ月前から日本にほとんど関心を寄せていない。市場の全ての関心は現在、中国の景気減速と米国の利上げの動きに向いており、安倍政権のデフレ脱却への闘いに対する彼らの「レーダー」の感度が落ちているのだ。
今回に限れば、相対的に日本への関心が低下しているだけなので、気にする必要はない。なぜなら日本経済は、20年以上も政府の景気てこ入れが空回りを続けた状態から、アベノミクスの「3本の矢」によって景気が上向きに転じてきているからだ。
「第1の矢」によって為替レートは第2次安倍政権の発足以来、約30%の円安となり、日本の輸出が増大してきた。この間、日本企業の財務基盤は強化され、経営効率と競争力の向上のための改革が進んだ。
ただし、金融メディアや一部のストラテジストの間では、日本に再び関心を向ける動きが見られる。多くのコメンテーターは、中国の景気減速と年内とも予想される米国の金融政策の正常化で、景気回復を確実なものとしたい日本政府の経済の舵とりがより難しいものになると指摘する。
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