アセマネOne・ソリューション新戦略のキーマンに聞く 日本の制度・慣行踏まえ「和製OCIO」提供
アセットマネジメントOneが、企業年金や大学基金向けの営業のあり方を大きく変貌させつつある。運用商品を単品で売り込むのではなく、顧客の運用環境やポートフォリオ全体を把握したうえで、ポートフォリオの設計からリスク管理、モニタリングなどまでをソリューションとして提案する。コンサルティング各社は今、運用や執行を含めたOCIO(アウトソースド・チーフ・インベストメント・オフィサー)ビジネスを積極的に展開している。こうした動きに呼応するかのような方針について、この分野でのアセマネOneのキーマンで、コンサルティング会社での運用ビジネスに従事した経験も持つ三木威常務執行役員に、その狙いや背景、今後などについて聞いた。(阿部圭介J-MONEY論説委員)

信託銀行からコンサルティング会社へ
「本論」を理解するために、三木さん自身のキャリアを伺う必要がありそうです。信託銀行で年金営業を担当したあと、米系のコンサルティング会社に移籍したのですね。
三木 今の戦略展開に直結する部分なので、少しお話しさせてください。安田信託で年金営業を始めてしばらくの1998年、当時の厚生年金基金に対する運用規制(5.3.3.2規制:安全性資産50%以上、株式30%以下、外貨建債券30%以下、不動産20%以下)が撤廃され、いわゆる運用自由化時代が始まりました。信託銀行としても運用商品の多様化や、顧客からの幅広い相談に対応できるよう取り組みがスタートします。しかし当時は、他社の商品を提供することはできず、従来の慣行から外れた取り組みは御法度(ごはっと)でした。当時の信託銀行での限界を感じて、声をかけていただいた米系のコンサルティング会社(以下、米系コンサル)に移籍したわけです。
早い段階から「部分的OCIO」
米系コンサルではどういった仕事に取り組んだのですか。
三木 そちらでも「クライアントサービス」という営業部門でした。私のいた米系コンサルはいわゆる自社運用商品を持っていませんでしたので、世界中から選んだ「ベスト・プラクティス」を提供していました。実は顧客からの要望に応えて、外国株式やオルタナティブなどの資産別に、顧客の運用環境やニーズに合った商品をパッケージで提供するサービスを2008年ごろから始めていました。部分的ではありますが、いわゆる今で言うOCIOです。ただ、お客様から「OCIOという名称は聞こえが良くない」との声をいただきました。運用責任者を「外出し」するのでは「自分たちの立場がない」というわけです。そこで、「ハイブリッドサービス」という名称で展開していました。
信託銀行に「出戻り」
米系コンサルでは執行役員まで昇進されました。しかし、そこから古巣の信託銀行に出戻った形です。なぜですか。
三木 私のいた会社は業界随一と言えるコンサルティング能力を持っています。また、世界中の運用商品に関する豊富なデータを持ち、顧客それぞれに最適と考えられる商品を紹介できるわけです。しかし、総幹事を務める信託銀行や生命保険会社との比較では、企業年金の負債サイドのデータや制度運用の知見が必ずしも十分ではなかったと思います。
当時、今後の環境変化等を踏まえると、より川上部分から執行部分にまで踏み込んだサービスが求められるようになるだろうと考えておりました。
そういった時期に古巣から声がかかった、と。
三木 ええ。信託銀行や運用会社も「単品営業」から脱皮し、ソリューションの提供を志向し始めていました。アセマネOneは、みずほグループと第一生命グループの運用会社です。グループ内には、総幹事業務を行うみずほ信託銀行や第一生命保険が存在する。こうしたグループの総合力を背景とした運用会社ですので、コンサルティング能力を高めれば、相当戦えると考えたのです。
OCIO業界は「混戦模様」
さて現状です。ある意味、今最も競争状態が鮮明になっているのがOCIOの分野ですよね。コンサルティング会社が、運用会社や信託銀行の領域に「侵犯」を図っているようにも見えます。
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