オンライン会議
新型コロナウイルスの影響で、ロサンゼルスにいるレポート著者との質疑応答はZOOMを使用したオンライン形式で行われた。

米コンサルティング企業のマッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社は2020年3月27日、気候変動リスクに関するメディア向けラウンドテーブルを都内で開催した。

近年の国際会議では、地球温暖化を要因とした気候変動が主要議題となっている。同社は環境問題がビジネスに及ぼす影響に以前から着目し、経営者や投資家の危機意識の薄さに警鐘を鳴らし続けている。2019年には、同社シンクタンクのマッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)が「気候変動リスクとその対応策」と題したレポートを作成。当日のラウンドテーブルの中心となるセッションで概要を発表した。

レポートは、2050年ごろまでの30年間に二酸化炭素排出量の削減対策が進まず、高排出が続いた場合、気候はどのように変化し、社会・経済活動にどんなリスクや不確実性をもたらすのかに焦点を当てている。セッション内では、洪水の頻発によるフロリダ州の不動産価値の下落や、猛暑によるインドの実労働時間低下などを例に挙げた。こうした気候変動リスクに今後対峙していかなければならない経営者や投資家には、イメージの難しいトピックを俯瞰(ふかん)できるレポートとなっている。なお今回のラウンドテーブルでは、同日本支社が4月に公開予定(4月時点で公開済み)の「日本版気候変動対策レポート」の内容も一部公開した。

当日登壇した同社東京オフィスの山田唯人パートナーは、「インドでは今後数十年間、熱波が増加していくと予測される。同国に資産を保有している、あるいは投資を予定している日本の投資家は、きちんとリスクを考慮していかなければならない」と、気候変動リスクの把握と対策が金融や資産運用の分野でも重要になっていることを強調した。同氏はさらにビジネス全体における気候変動との向き合い方について「生産性を追求してきた経営からレジリエンス(環境変化のダメージからいち早く回復する強靭さ)を目標とした経営にシフトしていかなければならない」と述べた。

レポートはこちら:「気候変動リスクとその対応策」(PDF)
マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社「知見」