三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券 日本のPB部門総合ランキング8年連続1位。「ファミリー・ウェルス・マネージャー」へ邁進
ユーロマネー誌の「プライベート・バンキング・サーベイ2020」の「日本のプライベート・バンキング部門」で、三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券が総合ランキング1位に選出された。今回の受賞により、同社は日本の総合ランキング8年連続1位獲得を達成した。同社のプライベート・バンキング(PB)ビジネスの強みについて、代表取締役社長の足立哲氏に聞いた。
(岡本英理子)
「長期担当制」のFAと顧客との強固なリレーション
御社のPBビジネスの強みを教えてください。
何よりもお客さまを担当するファイナンシャル・アドバイザー(FA)のクオリティが高いことが挙げられます。
PBのお客さまが金融機関を選ぶ際に最も重視しているのが「担当者」です。当社が毎年実施する「お客さま満足度調査」でも、人柄・信頼感・お客さまニーズに対する理解力・専門知識・説明の分かりやすさ・コンタクトのタイミングなど、担当するFAに関する評価項目がお客さま満足度の大半を占めています。
当社では、豊富な経験と高い専門性を兼ね備えたFAが「長期担当制」のもとで、お客さまのライフプランに沿った資産運用のお手伝いをしています。
FAは、お客さまに対してマーケット環境が大きく変化した場合などには、その背景を丁寧に解説するほか、投資判断に至った経緯などを改めてご説明します。これによりお客さまは、短期的な値動きに惑わされることなく投資戦略を継続することができます。一人のFAがお客さまの資産運用に長く携わっている当社ならではの強みです。
当社の企業理念「ミッション&バリュー」も、社員の行動規範として深く浸透しています。我々が果たすべきミッションを「最高のウェルス・マネジメント・サービスを通じ、特別なお客さまのさまざまなライフステージにおいて、真の豊かさの実現をお手伝いすること」と定義し、その達成に向けて目指すべき5つのバリュー(「ClientFocus」「Professional」「Team Work」「Diversity」「Integrity」)を掲げています。
8年連続で日本のプライベート・バンキング部門の総合ランキング1位に選ばれました。
17回目を迎えたこのアワードは、PB関連の中で最も著名な権威ある賞として知られています。2020年は世界中で約800社の金融機関同士の投票によって順位が決まり、世界50カ国のランキングが発表されました。
今回の受賞は、プライベート・バンキング専業の金融機関として日本最大級の事業展開を行う当社の、お客さまとFAとの長期にわたる強固なリレーションシップや、提供する幅広い商品・サービスなどが総合的に高く評価されたものです。昨年と同様に2020年2月にロンドンで開催された授賞式に参加しました。今後も慢心することなく、絶え間なく変化する金融・経済・社会環境に正面から取り組み、お客さまとの長期的かつ強い信頼関係を築きあげ、真のニーズにお応えする『最高のウェルス・マネジメント・サービス』を追求していきます。
運用・非運用の枠を超えたシームレスなサービスを提供
PBビジネスのトレンドをどう見ますか。
米国の主要なプレーヤーは、「インベストメント・マネージャー」⇒「ウェルス・マネージャー」⇒「ファミリー・ウェルス・マネージャー」へと急速にシフトを進めています。
一方で日本のPB業界は、未だアセットアロケーションやファンドの選択に対するプランニング、投資ポートフォリオの構築をサポートするいわゆる「インベストメント・マネージャー」としての役割を中心に、国内外の金融機関が競い合っている状況です。
当社はさらに先を見据えています。米国と同様に、資産承継、信託・トラスト、保険等までカバーする「ウェルス・マネージャー」、さらに次のステップとして資産家のお客さまご自身だけでなく、そのファミリーに向けてもソリューションを提供していく「ファミリー・ウェルス・マネージャー」を目指して、日々邁進しています。
「ファミリー・ウェルス・マネージャー」へのシフトに向けて、どのようなステップを考えていますか。
お客さまにとってのFAのステイタスを向上させるために、インベストメント・マネージャーの効率性を向上させ、規模を拡大することが必要です。
FAがお客さまの高付加価値業務に集中するために、資産運用業務にかける時間は、20%前後が理想とされています。しかし現状では、提案書の作成やさまざまな事務作業に追われ、非運用サービスの話題に触れるための準備をする時間さえ取れていません。このため当社では、「FAプラットフォーム」を導入し、FAのターゲティング精度の向上や業務の効率化を大幅に支援しています。
また、セールスアシスタントの業務インターフェイスを簡素化することで、必要な複数の情報を1つのウィンドウ上で操作できるようになり、大幅な業務負荷の軽減も図っています。
MUMSSの機能を従来以上に活用しお客さまのニーズに幅広く対応
今後の事業方針を教えてください。
2016年に本格導入した当社独自の「投資助言サービス(アドバイザリー・サービス)」は、フィービジネスの強化実現のためのキーとなっています。
同サービスが生み出すフィー(投資助言による資産残高に応じた報酬)は、業務展開後の時間経過とともに拡大しています。当社の中期経営計画では、預かり残高の拡大と合わせてフィーベースのさらなる収益拡大も描いており、向こう2年間で固定費の70%を、向こう5年間で固定費をすべてフィーベースのビジネスによる収益で賄うことを目標に据えています。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)との合併にあたっては、これまで以上にお客さまのニーズに対応すべく、MUMSSの総合証券機能をダイレクトに活用し、IPOやM&A、アドバイザリー、エクイティ、事業承継、遺言、相続、不動産などに力を入れていきます。
今後も富裕層マーケットが大きく成長していくなかで、変わらない本質を大切に持ち続けながら常に世の中の変化を感じ取り、新しいものを取り入れていくという、いわゆる「不易流行」の考え方の下、現状に満足することなく社会の変化を意識しながら、さらに質の高いサービスを提供してまいります。