欧州の国債・社債、エマージング債運用に強みを持つブルーベイ・アセット・マネジメントは、近年では、プライベート・デットの一種である欧州ダイレクト・レンディング戦略にも注力してきた。日本において15周年を迎える同社の歩みと、年金基金や金融機関が欧州資産クラスを採用するメリットなどを日本における代表者の北信也氏に聞いた。(柴田哲也)

リーマン・ショックを機に顧客と運用資産が拡大

北 信也氏
ブルーベイ・アセット・マネジメント・インターナショナル・リミテッド
日本における代表者
北 信也

会社設立は2001年、日本には2005年に進出した。

 ブルーベイは、ユーロ誕生とともに成長する欧州の社債市場における非効率性の活用と、エマージング市場の投資機会に対応すべく設立された。現在は欧州最大級の債券運用のアクティブマネジャーであり、社債、ソブリン債、金利、通貨を活用して600億米ドル(約6兆4800億円)を超える資産を運用している。運用戦略としては、欧州国債・社債、エマージング債を中心にダイレクト・レンディングなどを提供している(2019年9月末時点。図表1)。

ブルーベイ・アセット・マネジメントが提供している主な運用戦略

2005年に開設した東京支店は2名でスタート。リテール向け投資信託の外部運用委託先として少しずつ実績を上 げていった。現在は19名のスタッフで、年金基金や金融機関など機関投資家ビジネスに注力している(図表2)。

ブルーベイにおける日本の投資家の運用資産残高

業務拡大のきっかけは。

 大きな転機の一つが、2008年のリーマン・ショックだ。運用業界全体にすさまじい逆風となり、それまで3~4%だった欧州の社債の利回りが8~9%に急上昇した。すると機関投資家の間で、「格付けが投資適格の欧州社債でそれほどの利回りが取れるのなら投資を検討したい」とのトレンドになり、顧客と運用資産が一気に増えた。コンパクトな経営規模と、元本毀き損そんを防ぐことに重点を置きながら絶対リターン獲得を目指す運用哲学が金融危機という嵐の影響を最小限に抑え、かえって飛躍の機会になったと考える。